知らないことを日々調べて問題に対処しています。そして脳に特殊な状況下での対処法というフラグメントが出来上がります。その知識を抽象化してさまざまな問題の対処に使えるようにすることで汎用的な力が身につきます。そのための過程として、ブログや登壇はとくに優れています。誰もが読んで納得できる知識は貴重です。そして何より他の知識と体系化するのも容易です。もしその内容を忘れてしまったとしても辿っていけばすぐに思い出せるでしょう。 今回は情報発信を通じて断片的な知識を体系化して汎用的にするためにどのような情報発信が求められるかについて書いていきます。
伝えたいテーマを明確にする
1番大事なのが何を伝えたいかを明確にすることです。どんなケースを対応できる内容なのかをはっきりさせることで、ユーザーの期待値をコントロールします。
サブテーマでテーマを表現する
そして、そのテーマを進めるにあたって、複数のサブテーマをまとめあげます。テーマが H1 要素だとすると、サブテーマは H2 要素です。つまりテーマに関連して、それを説明するためのものがサブテーマです。 さらにサブテーマにそれを裏付ける根拠や実装例を紹介しましょう。サブテーマには肉をつけてあげるのです。テーマというコース料理の主題があり、サブテーマと内容という骨つき肉が連続で出てきて、それをユーザーは食べて知識を補給するのです。
ユーザーのレベルを意識する
サブテーマ以降の内容を読んだり聞いたりするユーザーのレベルを意識します。例えば、React 初学者に向けた内容であれば、Effect などの要素は説明が必要でしょう。逆に中級者に向けた内容であればノイズになりえます。まずは自分と似た人をターゲットに情報の取捨選択をするとよいです。つまり肉から不要な脂肪を削ぎ落として美味しい部分だけを取り入れるのです。
登壇とブログで意識を変える
登壇とブログは情報発信の仕方が異なります。登壇は時間が決まっています。どれだけスライドに情報を入れ込んでも、見ることができる時間は限られます。つまり、伝えることができる情報量に限りがあります。実際に何回か勉強会に行っていますが、8割くらいの情報は抜け落ちます。また、視覚だけでなく聴覚でも情報が伝わる以上、情報発信がコミュニケーションに近くなり、それをデザインする必要があります。 わたしは5分くらいの勉強会で、せいぜい1テーマを3つくらいの根拠で話すのがちょうどいいと思っています。10分なら1テーマを2つのサブテーマに分割して、それぞれに3つの根拠を持たせるような形がちょうどいいです。 テーマを簡単に理解してもらって、家とかで調べて自分の言葉に落とし込んでもらうのをゴールにすればやりやすいでしょう。ブログと違って登壇はユーザーが考える時間がありません。ただ知識に落とし込むのであれば絶対にその時間は必要です。だからゴールがブログとは異なってきます。
スライドをシンプルにたもつ
5分の登壇で1つのテーマにそれを支える根拠が少し、スライドはかなりシンプルになります。わたしはそれでいいと思っています。人は情報のほとんどを視覚に頼っています。だからスライドに記述量が多いとそこに意識が向きすぎます。そこにスピーカーの声が入ると簡単に処理できる情報量を超えてしまいます。なのであくまでもスライドに載せる情報はシンプルに絞り込むべきだと思います。
声で疑問に答える
スライドを読んでしまうと内容がすっからかんになってしまうのでここから声を使います。スライドで伝えたいことを読んでらっても、そのままユーザーはすんなり受け入れるでしょうか。わたしだったら考えて疑問が湧き上がってきてそれについて考えたくなります。そこで、あなた自身の声を使ってよくある疑問に答えていきましょう。このときにコードサンプルが必要だったり、資料としての補助が必要になったところでスライドを追加しましょう。あくまであなたが喋ることの補足資料として活用しましょう。
さいごに
情報発信において大事なのは伝えることではなく伝わることです。自分の内側にあるものを外側に引っ張り出して、それを価値あるものとして活用するのが情報発信です。難しく感じるかもしれませんが、未来の自分が似た問題にぶつかったときに活用できる形で知見を残す、をゴールに始めてみるとよいと思います。 ブログと登壇を通じて情報発信の仕方を考えてみました。これらでの断片的な知識を体系的なものにできれば幸いです。