半年前に解決したはずの問題へ、もう一度ぶつかることがあります。手が覚えているのは断片だけで、なぜその方法を選んだのかは出てこない。ブログに書いてあれば、当時の道筋をたどり直せます。
仕事を続けるうちに、特定の場面でだけ役立つ知識が、つながらないまま溜まっていきます。それを別の問題にも使える形へ編み直すには、他者が読んで納得できるところまで言葉にするのが早い。ブログや登壇は、その作業を強制してくれます。
伝えたいテーマを明確にする
最も大切なのは、何を伝えたいのかを明確にすることです。どのような課題に応える内容なのかを最初に示すことで、受け手の期待を適切に揃えられます。
サブテーマでテーマを表現する
テーマを決めたら、それを説明する複数のサブテーマに分けます。テーマが H1 要素なら、サブテーマは H2 要素です。それぞれのサブテーマに根拠や実装例を添えると、主張と具体例の関係が見えやすくなります。
受け手の知識量を意識する
内容を読む人、聞く人の知識量を意識します。React 初学者に向けた内容なら、Effect の役割から説明する必要があるでしょう。中級者にとっては、同じ説明がノイズになりえます。迷ったときは、過去の自分に近い人を想定すると、情報を選びやすくなります。
登壇とブログで意識を変える
登壇とブログでは、情報の届け方が異なります。登壇には時間の制約があり、スライドに情報を詰め込んでも、受け手が一度に処理できる量には限界があります。視覚と聴覚の両方を使うからこそ、何を見せ、何を話すかを設計しなければなりません。
5分の登壇なら、1つのテーマを3つほどの根拠で支えるくらいがちょうどよいと考えています。10分なら、1つのテーマを2つのサブテーマに分け、それぞれに根拠を持たせられます。
登壇のゴールは、テーマの入口を持ち帰ってもらうことです。その場ですべてを理解してもらう必要はありません。あとで調べ、自分の言葉に置き換えてもらえれば十分です。読み手がいつでも立ち止まれるブログとは、目指す地点が異なります。
スライドをシンプルにたもつ
1つのテーマと、それを支える少数の根拠に絞れば、スライドは自然とシンプルになります。文字量が多いほど、聞き手の意識は読むことに向かいます。そこへ話し手の声が重なると、処理できる情報量を簡単に超えてしまいます。スライドには、話を理解するために必要な情報だけを残します。
声で疑問に答える
スライドだけで話が完結するなら、話し手の役割がありません。スライドに示した主張に対して聞き手が抱きそうな疑問を想像し、自分の声で答えていきます。コードサンプルや図が必要になったときだけ、補助としてスライドを追加します。スライドは台本ではなく、話を支える資料です。
さいごに
情報発信のゴールは、受け手が使える形まで知識を整えることです。自分の内側にある断片を取り出し、他者や未来の自分が読める順番に並べ直す。その過程で、ばらばらだった知識は少しずつつながっていきます。
難しく考える必要はありません。まずは、未来の自分が同じ問題に出会ったときにたどり直せる道筋を、1本残すところから始めます。